2.スペインの土地、気候
スペインには地震がないとのことである。
そういえば東隣のフランスも地震で建物が壊れたとは確か聞いたことがない。ところが西隣のポルトガルでは200年に一回の大地震がある。
地震がないということは、建てたものが戦争や自分で壊す意思がない限り何時までも建っているということになる。
だから10世紀に立てた王宮とかがあちこちに現存しているから驚いてしまう。
また大昔に建てられたモスク、聖堂、王宮などはどっしりとして見えるが、現代のスペインの建物の骨組みは日本の感覚から言えば誠に弱弱しく見える。
地震がないので建物自体も上からの自分自身の重さに耐えられ、風に耐えられればいい。だから建設中のマンションなどを見てみると「姉歯さん」も心配するような細い柱が使われている。高圧送電用鉄柱などは本当にひょろひょろとして頼りない。
ところでバルセロナのサクラダ・ファミリヤ教会は、これを見るだけでスペインに来た値打ちがある。
現在建築中であるが着工は224年前で完成までに後100年ぐらい掛かるらしい。
実に300年以上かけて建設中である。塔は現在高いもので4本あり高さは150から170mある。
日本なら、建てている間に二三度は地震で倒壊したのではないか。
スペイン旅行は地震がないということは、どういうことなのか思い知らされる。
スペインという国は大部分が標高600m〜800mの台地の上にある。
そしてその台地は岩で出来ておりスペイン語でメセタ(踊り場)と云われている。
バルセロナからバレンシヤ、グラナダまで約900kmをバスで移動した。
グラナダのシェラ・ネバダ山脈を見るまでは殆ど山らしいものはなく半砂漠である。
ところどころに低い山があるが木らしいものは殆ど生えていなくて低木がしょぼしょぼと生えている程度で毛の薄くなったおじさんが丸刈りしたような状態。
バルセロナからグラナダまで約900kmの間に橋を渡ったという記憶がないほど川がない。
それに、日本の高速道路では開削された側壁は土が流れ落ちないように芝草などが植えられているがスペインの側壁の殆どは岩を削って出来ているので削りっぱなし
のままである。
そして、表土はきわめて薄く、大きな木は育つことが出来ないので潅木ぐらいの木がようやく生えている状態である。
ただ、ところどころに糸杉と松が生えている。 糸杉はピカソの絵を思い出させる。
土地を肥やすために人工的に草を植えて育てているところが多い。
しかし、その草を家畜に食わすと次に育つのが難しいらしく家畜が放牧されているところは見当たらなかった。
緑といえばオリーブの木。平原一面オリーブの木が植えられている。オリーブの木は殆ど水をやらなくて良いという。
不思議なことに山のてっぺんに一軒だけ民家が建っていることがある。
山といっても丘ぐらいの高さだが。いったい水はどうするのだろうかと不思議で仕方がなかった。
結論は出なかったが云える事は平地でも水は殆どないのだから山のてっぺんでもたいした違いはないのではないだろうか・・・・。ということである。
グラナダ、セビリヤにくるとシェラ・ネバダ山脈のおかげで水は豊かである。グラナダのアルハンブラ宮殿やセビリヤの宮殿などでは自噴する噴水が多く作られており一変、水の都の様相を帯びる。
水が豊かであると今まで見なかったゴルフ場などが見られるようになる。